特異な自然環境+耕作放棄地を利用した薬草栽培。そんな新たな試みがスタートしました。

小さな一歩ですが、地域にとっての大きな一歩になることを願い、ひとつずつ丁寧に植えました。

高齢化による離農、後継者不足による耕作放棄地の拡大は、国内の中山間地域が抱える共通の課題です。

そんな耕作放棄地を利用した、新たな試みに向けての復旧作業を始めました。

耕作を放棄されてから年月があまり経っていない畑でしたので、復旧作業はさほど苦戦しませんでした。

本年は試験的に40本の苗を植えました。来年は2,000本の予定です。

“サステナブル(Sustainable)な社会”とは、“持続可能な社会”を指しています。

企業のサステナブル活動×私たちの趣旨。
最近よく耳にする“サステナブル”とは「sustain(持続する)」と「able(可能な)」からなる造語で、「持続可能な」という意味を持っています。
サステナブルは未来について考える際のキーワードで、資源を次世代へつなぐための配慮や行動を指しています。今や、世界全体がSDGs(持続可能な開発目標)を推進し、サステナブルな社会の実現が求められている中で、現在の環境や社会を維持し、将来世代に豊かな形で託すためには、サステナブルな社会の実現が不可欠なのです。
私たちが「天空の農産品 産地直送プロジェクト」の発足(2018年)当時に掲げた目標は、「産官学連携を始め、関わる関係者(生産者・販売事業者・加工業者など)のパートナーシップにより、地域の生活再建と農業所得倍増を実現するため、これまで課題要因として捉えられてきた地理的・気象的条件等を、他の地域にはない優位性として捉え、地域の活力を再生し、今まで試みられてこなかった様々な取組みを通じて地域の第一次産業の振興を図り、地域社会の利益の増進を目的とする」ことでした。

“天空の薬草園”を目指して。
そんな中、サステナブル活動に積極的に取り組む製薬会社さんよりお声掛けを頂き、「持続可能な地域の実現」をキーワードにした薬草栽培の取り組みが始まりました。
高い標高と、昼と夜の寒暖差による厳しい自然環境。プラス国内屈指の晴天率。この地域でたくましく育った植物に、高い機能性と強い生命力への期待が込められています。
浅間山・蓼科山・八ヶ岳山麓。三方を霊峰に囲まれ、多様な生物を育む生命の源と言っても過言ではない“天空の圃場”。
この地で育まれた薬草が、皆様の美容と健康、そして長寿に寄与できますよう願ってやみません。

持続可能な中山間地域の振興の起爆剤として期待が寄せられています。

小さな一歩ですが、未来への大きな一歩。
記念すべき第一弾の取り組みとして、製薬会社さんとある薬草の「研究栽培」の定植イベントを2023年10月5日に行いました。本年は40本の試験定植でしたが、来年は2,000本・再来年は3,000本と順次増やして行く予定です。

佐久総合病院に赴任された若月俊一先生(2006年8月22日没)が培った「医療の街佐久」。さらに「薬草の佐久地域」へ夢は膨らみます。


1本1本撮影し、今後の生育状況を記録していきます。


今後の管理方法などを協議。


取り決めにより栽培植物は㊙とさせていただきます。


収穫は3~4年後の予定です。


定植終了後の懇親会の様子。

私たちの地域にとっての“サステナブルな社会”とは?

次世代に美田を残す。
私たちの地域に限らず、日本の農業従事者の平均年齢の7割は高齢者(65歳以上)で、耕作放棄地は年々拡大。食料自給率が40%を切っている…。
農林水産省の調べによると2021年の全国の農家平均年齢は約68歳で、毎年上昇傾向にあります。(極端に言えば、10年前の平均年齢は58歳、10年後の平均年齢は78歳…。)
なぜ日本の農業は衰退しているのでしょうか?
都会に就職した子供が帰ってこない(戻っても一定の収入を得る手段が見当たらない)ため後継者がいない→親世代の高齢化→生産力の低下→耕作放棄地の増加…。
かつて集落に響いた子ども達の声もまばらで集落の行事も成り立たない。今や日本全国どの中山間地域でも抱える共通の現象で、中山間地域の暮らしは疲弊し限界に達しています。リゾート施設を呼び込んでも、今後の少子高齢化社会を考慮すれば一時的な“その場しのぎ”にしかなりません。

つまり、明るい未来への夢がまったく描けない状況です。お金の無い所からは人は去ります。限界集落へのカウントダウンがそこかしこから聞こえてきます…。
30年前に皆様が想い描いた未来の暮らしに、こんなシーンは無かったはず。さらにこの先の未来に希望は持てますか?


長く放棄された山際の田畑では、山林化が進んでいます。

米百俵の精神で、共助のチームで挑む。
中山間地域の再生には、やはり第一次産業の振興が“肝”になります。例えばバラエティに富んだ地域資源を「宝」として活用することができるなら、経営規模の拡大だけに頼らない収益力のある農業を実現できる可能性を秘めています。
私たちの活動の目標のひとつ「これまで課題要因として捉えられてきた地理的・気象的条件等を、他の地域にはない優位性として捉え…」を当てはめるならば、
○高い標高と、昼と夜の寒暖差による厳しい自然環境→暖めて育てるにはハウス栽培と暖房で可能。反対に低温栽培には莫大なコストが必要。
○国内屈指の高い晴天率と少ない降雨量→光は植物の命。多すぎる地中水分量は命取り。裂果も最小限に抑えられる。
となります。

どんなに個人のパフォーマンスが高くても限界があります。得意な人が得意な分野を担当し、それぞれが専門業務を提供しあうチームで挑むことがプロジェクトの基本。
還暦を過ぎた方は、己を捨てて自身が持つ「知識・技術・ネットワークを次世代に伝える」ことが使命。「夢がまだあるなら、お金が無いのは我慢できる」。30年後の次世代の笑顔を信じつつ、私たちは共助のチームで挑戦し続けます。


来年からの復旧予定地の視察。

第2弾・第3弾と機能性植物の研究採取(栽培)に順次取り組んでいきます。


写真左上/マタタビ(虫癭果)=生薬名:木天蓼(モクテンリョウ) 写真右上/ナツメ=生薬名:大棗(タイソウ)
写真左下/吾亦紅(われもこう)=生薬名:地楡(チユ) 写真右下/野イバラ=生薬名:営実(エイジツ)

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